『若恋』若恋編






さっきの学生証に名があった。


「天宮りお」




「その制服だと西高校ですか?」

「はい…二年生、です」

わかりました。

榊と一言、二言話をしてるのを聞かない振りをして聞いていた。


高校二年生なら歳は16歳か。

考えていると車が停車した。



「若、着きました。成田が処置室で待ってるとのことです」

「もうひとりの医者は?」

「もうすぐ到着するそうです」



開け放たれた車から、彼女を抱えそっと降りる。

休診とされてた札をものともせずに院内へと突き進む。



「成田頼む!」


叫ぶと、奥の部屋から声がした。

「今回の借りは高くつくからな」

ひょいと20代後半の男が顔を出した。
成田だ。



「おや、女の子じゃねえか。こりゃまたな。てっきりヤローかと思ってたが」


目を丸くした。

へえ〜?


「奏が自ら運ぶなんてねぇ」

意味深に頷き口角を上げる。



「つべこべ言わずに早くやれ」

「おー、こわ。はいはい。奏。お嬢さんをここに座らせて上着を脱がせて」