車のそばに立つ榊さんがわたしたちの乗ってる車の後ろに銃を構える。


「お願い乗って!」

少し色のついた窓ガラスから榊さんの目が見えるのに、わたしの声は榊さんには届かない。

ビュン

変わった音がして目の前で榊さんのスーツの肩のところに血が散った。


「いやぁ榊さん!!」

くっ。

痛みがあるはずなのに榊さんは後ろに銃を構えたまま動こうとしない。


早く乗って!!

じゃないと撃たれて死んじゃうよお。

榊さんが死んじゃう!!



「行くぞ!!りお!」


ハンドルを切り車を急発進させる。


「榊さんを置いてけない!」
「榊を置いてくわけじゃない!」

怒鳴った。