夜の蝶。
大神の名に群がる女たち。
すべての女はもういらない。
「新しい携帯には女は入れるな」
何事かを察して。
「…手切れ金いくらか用意しますか?」
「そんなのはいらねぇ。ただ煩くいう女がいたら俺に話してくれればいい」
「わかりました。」
「頼むぜ」
「はい」
ガタン
車が揺れて彼女が歯を噛み締めた。
痛みで息が浅い。
「苦しいか?」
ふるふると震えた彼女に気付き、榊との会話が一端途切れた。
こくん。彼女が頷いた。
「これから行く医者はとても腕のいい医者だ。悪いようにはしねえから、信じて治療を受けてくれるか?」
「………うん」
彼女の目から涙が浮かんだと思ったら止めどなく溢れ落ちた。
「おい、」
「ご、ごめんなさい」
涙を拭う手も自由にならない彼女がポロポロと涙を溢してる姿を見たら切なくなる。
「ご、ごめんなさい」
「いや、いい。悪かった」



