だが、日に日に龍神会との関係は悪化していく。

りおを学校へ送り届けてから大神物産本社へ向かう途中、環状線で車二台に挟まれた。


「ちっ、龍神会か?」

「いや、違う。奴らじゃない」


前後、左右二台に挟まれると仕掛けてきたかと笑いが出る。



「……なあ、仁」

「なんだ?若」

「……りおを頼むぞ」

「あ?」

何を言うんだ突然?と、仁の眉に皺が寄った。


「俺がいない時にはおまえたちがりおを守ってくれ」

「あたりまえだろ」

「そうだな。当たり前だな」



抗争が激化するにつれりおの身に及ぶかもしれない危険が強くなっていく。
けれど、俺がいない時にもふたりがいてくれるなら大丈夫だ。
任せておける。


「頼むぞ。りおを守ってくれ」



いずれ押し寄せてくる龍神会。

その頂点に君臨する自分とよく似た男の顔が頭に浮かんだ。



―――取るか取られるか



あいつとの決戦が近づいていた。