仁が眉をひそめる。
「俺たちはこういうのを着てるが、りおは制服の下に着ることはできないからな」
仁は自分のスーツの内側を捲って胸に手を当てた。
「…防弾の?」
「今はだいぶ軽くなったんですよ。りおさんにはこういうのを着せる生活はさせたくないですけどね」
助手席で榊がため息混じりに言う。
「おい、あんまり怖がらせるな。りおが青い顔をしてる」
脅かしすぎて顔色が悪くなったりおを見て榊と仁を諌めた。
「……ああいうの、奏さんは着てないみたいだけど」
「ああ。俺は着ない。いざというときはそれまでだ」
そう言うと不安げに顔を上げ俺を見た。
「……奏さん、無理しないでね。わたしなんかより自分を守って」
「りお」
「奏さんが……大事だから。お願い」
「りお」
隣で不安に瞳を揺らすりおの手をそっと握った。
「俺は死なねえよ。大丈夫だ」