「若、もういいでしょう」
「榊、」
「仁もわかってます。これから自分が何をすべきか」
「そうだな」
答えると榊が笑みを浮かべ仁を振り返った。
「さあ戻りましょうか」
「ああ」
りおを横抱きにして榊と仁、前広らを背にして歩き出す。
「しかし、仁がりおの兄だなんてな。ドラマみてぇだな」
宙を仰いだ。
「そうですね、驚きでした」
りおを覗くとまだ泣いている。
それを見ていられなくてわざと隣に仁を呼んだ。
「このツケは大きいぞ」
「若の部屋を派手に壊してくれたので後で請求出させていただきます」
榊も成り行きを見て笑いながら告げると仁が切れた唇を拭い肩をすぼめた。
「誰が払うんだ?」
「決まってるでしょう。仁ですよ。一生若に仕えてもらって、それでチャラってことにしましょう」
「榊…おまえ悪どいな」
ふたりが笑うと、他の仲間たちもつられて笑った。