「……奏さん、お願い。仁さんを助けて」
「………」
「お願い、仁お兄ちゃんを助けて」
すがり付くりおの頬に盛り上がった涙がポロリと落ちた。
「りお。裏切りは許されない」
りおの掴んだ手を滑らし外す。
「俺は大神を守る義務がある。裏切りものをこのままにするわけにはいかねぇ」
「やだ、」
「仁だってわかってる」
「やだ、おねがい!仁お兄ちゃんを助けて!」
悲鳴のような、叫びのような悲痛なりおの声が胸を貫く。
「仁には死んでもらう」
「……そ、う、さん」
りおの瞳に絶望の色が浮かんだ。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…