「若は―――俺と同じ年なのに、毎日ゴツい大人たちに囲まれて自分も大人ですって感じの妙に生意気なやつに育ってて。
だけど、『行くところがないなら俺のとこに来い。飯ぐらいならいつでも食わせてやる』なんて言いやがった。
ケンカしてボロボロになったその足で若のとこに行けば眠る場所もあって、
……一生ついて行ってもいいかなって思えたな」


ぽつり。
そう言った。



「……それならばなぜ、だ?」


「………」


仁の瞳がりおから一瞬だけ外れ俺を見た。

それには答えず、また視線は腕の中に戻る。



「……あんたが若の前に現れた時には初めは名字が一緒なんだろうくらいにしか思わなかった。
だけど、あんたの父親を病院で見た時は―――正直、運命ってあるんだって思ったな」