『若恋』若恋編




もう一人の男の顔も上げさせて問うと。


「ここには最初から…いない」

「ホントか?」

「本当だ。仁さんと、りおさんだけだ」


吊り上げられた男の肩からキシキシと音がする。力を入れれば折れる。


「おまえは、仁がりおを拐ったと知ってそれでも俺に歯向かうのか」

「俺は仁さんのために、」

「……そうか、わかった」



折る気もなくなった。

捩じ伏せられた男を一瞥し鍵の掛かったドアの前に銃を構えた。



ダンダンダンダン


辺りに爆音が響く。
火薬の匂いが立ち込めて頑丈なドアに弾がめり込んだ。

一気に蹴り飛ばし、榊、毅らと中へと飛び込む。



「りおっ!!」


灯りを落とした広すぎる部屋。
数ヶ月前と変わらない部屋の中へと踏み込む。


「りおっ!!どこだ!!」


爆音に耳を塞いでソファーに座って蹲っていたたりおを見つけ抱き抱えあげた。

腕にしがみついてきたりおがシャツに顔を埋める。