『若恋』若恋編




「榊、兄貴ふたりと繋ぎとれ。表からも探す。それから」

ギリ

歯軋りして、

「仁の家族に連絡とれ」

最悪な事態を考えた。



りおがいなくなって、
仁も姿を現さないということは、永遠にふたりを失う可能性があるということだ。



「…榊、悪いが10分だけひとりにしてくれねえか」

「若、」

「ひとりで突っ走るようなことはしねえ。だから、少しの時間だけひとりにしてくれねえか」

「若、しかし…」

「頼む」



俺が頼んでもひとりにさせてもらえないだろう。
だったら。

無理にでもひとりになるまで。



「…わかりました」

若、くれぐれも気をつけて。

榊が軽くため息をついた。


「榊、悪りぃな」

「いえ、」



ひとりになった俺は、りおのいない閉ざされた闇に沈んだ。




―――りお!

待ってろ。今すぐ探しだしてやるからな!