「大神様が女性をお連れになったのは初めてのことですね」
「そうだな」
「とても可愛らしいお嬢様ですね」
「ああ」
店主にりおを可愛いと言われ自然頬が緩んだ。
「お嬢様には誕生石をプレゼントされたらいかがでしょう?喜ばれると思いますが」
誕生石?
りおは4月生まれだ。
「ダイヤモンドですね」
答えると、店主が優しく笑った。
「ダイヤ、か」
店主のアドバイスでこっそりとりおへのプレゼントにするリングを選んだ。
りおにはまだ内緒だ。
「りお、何でも好きなのを選べ」
「え?でも」
選べないでいるりおに、
「これを」
「奏さん、見てただけだからそんな」
「俺がいいって言ってるんだからべつに良いだろ」
後ろに顎で指示し、仁がカードを店主に渡した。
「ほら、つけてやる」
りおの見ていた四つ葉のクローバーのネックレスをその場でつけた。
「あ、ありがとう」
「よかったな」
りおの頭を撫で、
プレゼントにと買った誕生石のリングに喜んでくれるのを想像した。
後で渡そう、そう思っていた。
事件に巻き込まれるのも知らずに―――



