『若恋』若恋編




「……多分、骨が折れてるだろう」

「……折れ、てる?」


彼女の瞳にみるみるうちに光るものが盛り上がってくる。

見ていられなくなるような悲痛な表情だった。



「……しゅ、じゅつ」

「………」



そうだ。

千切れた指も、腫れ上がった左腕も手術が必要だ。

俺を庇ったばかりにこんなケガを負わせてしまった。

彼女の目を見ていられなくなって目を反らす。


隣に座る榊に告げた。


「麻酔効かねえだろうから俺が押さえる」

「いえ、わたしが成田にお手伝いしますので、若は先に屋敷に戻っていてください」


冷静な榊が先に屋敷へ戻そうと、それが俺の身の安全を守れると判断した。

わかってる。
榊の言いたいことがよくわかる。

だが。



「……榊、俺が彼女に付き添う」