そのすべてを手に入れたい。
「りお」
「だ、め」
「やめない」
初めて奪う薄く柔らかなくちびる。
詩を囀ずるそのくちびるから俺の名が溢れる。
「だ、め、奏、さん」
「―――やめない」
初めて触れる白い肌。
小さく震える喉。
花の香り。
誰にも誰にも誰にも。
渡さない。
「愛してるんだ」
告げたら最後。
告げたら永久にりおを失う。
永遠にりおの心は手に入らない。
わかってるのに、もう止められない。
地獄に落ちてもいい。
恨まれても罵られてもいい。
他の男のものになるくらいなら。
他の男をその瞳に映すくらいなら。
―――地獄に落ちてもいい



