『若恋』若恋編




「りお、その男の名を教えろ」

「いや」

りおが首を横に振る。


「教えろよ」


壁を何度も叩き握った拳から血が出て、

「やめてやめてやめて!」

りおがその手にしがみついて止めた。


「やだ!やめて奏さん!指の骨が折れちゃうよっ!」

半泣きでしがみつく。



「奏さんの指が」


「いい構うな。
それよりそのガキの息の根止めてやる」

「なんで?いきなりどうしたの?わたしなんかしたのっ?」



無垢な瞳が真っ直ぐに俺を捉える。

今にも泣き出しそうな表情だった。




「―――りお。」