「そいつが好きなのか?」
「好きとは違うけど」
「―――けど?」
「付き合ってもっと相手のことを知れば好きになれるのかもしれないかなって思ってて…」
「―――なにっ?」
付き合えば好きになれるかも?
「まさか…付き合うつもりなのか?」
やはり付き合うのか?
「え?」
驚いた瞳が俺を見上げた。
「―――奏さん?」
「りお、その男の名前は?」
「え?あ、あの…」
戸惑って口ごもるりおの手を離した。
立ち上がって壁に向かって思い切り拳を振り上げる。
ガンッ
「ふざけんなっ!」
―――もう限界だ
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