仁と榊がソファーから立ち上がり部屋を出ていく。




「りお、」

ぴくっ

不安を隠しきれない瞳が見上げた。
先週から怖い思いしていた瞳。



「―――怖かったろ」



「っ、」

りおが目を見開いた。


「怖い思いをさせたな」

「……奏さん」

「もう怖い思いをさせねえようにするからな」



りおの髪に手を伸ばしかけて。

やめた。

その手をギュッと押さえた。



「声を荒げて悪かった」

「ううん」

横に首を振るりおが少しだけ笑った。



「もう怖くない。ありがとう、奏さん」

「りお」



掻き抱きたい。
その細い肩を。




「もう、怖い思いはさせない」








―――そう誓った