「りおは優しくて強い。嫌がらせされても泣かなかったばかりか、その連中を許してまた以前のように笑い合うことができるんだからな」

「本当に強いですね」

「ああ。俺にはそういうことはできねぇがな」

「わたしにもできません。それができるのがりおさんなんでしょうね。」

「そうだな」


お気に入りの白いソファーの定位置を見る。

すっかり周りに溶け込んだりお。

笑い顔が増えたことで屋敷の中も明るくなっている。




「榊さんはコーヒーで、」

「はい、いただきます。りおさんケガの方は?」

「リハビリを兼ねて軽いものなら持てるから」


俺を見て、榊を見て、持ってきたコーヒーカップ2つとバームクーヘンを置いた。



「りお、おまえの分は?」

「わたしのは今淹れてるの」

そのままお茶を取りにキッチンへ戻る。
その後ろ姿を見送って、

「若、りおさんの手が震えてましたね」

「まだ無理なんだろうな。あれ以上持てなかったんだろ」