学校で噂になり、あからさまな嫌がらせに耐えて黙っているりおの後ろ姿が頭に浮かぶ。

靴入れや、ロッカーもすごいことになってるだろう。



「………」



ただ登校しただけでこの嫌がらせか。

りおの傍にいるのは立花樹と数人の友人だけなんて。


「………」



「……若、」


握っていたグラスがピシリと音を立てる。


「榊、突き止めろ。これ以上りおが傷つかねえようにしろ」

「わかってます」

「女だからって容赦すんな。これ以上続けるようなら狼の群れに放り込め」

「はい」


背を向けりおの居場所を探す。
自分の部屋にいるかと思ったが姿を見つけられない。


外には雨雲が立ち込めている。



「外には出てないだろうな」


よく読書をしている一階中庭に面したテラスの白いソファーにも姿がない。