「こ、こわ、…かった」



肩が震えてた。

どんなことがりおの身に起こったのか容易に想像ができる。

男の迫ってくるくちびる。
ゴツイ指先。
力では敵わない握力。

ベルトを外し、反りたったモノを見せられた瞬間の衝撃!


思い出させたくない。
忘れさせておきたい。


震えている体を触れるか触れないかのギリギリのラインで包み込む。



「怖かったな」

「…ん」



時間がどのくらい過ぎただろう。

震えた体が落ち着くとそっとりおを離した。




「ゆっくり風呂に入ってこい」

「―――うん」

「風呂から上がったら中庭に来い」

「?」

「りおに見せたいもんがある」



見せたいもの?

りおが首を傾げた。



「後でな」






―――りお

おまえの笑顔を見るためだったら俺はなんだってする。

たとえ。

誰を敵に回しても。