土まみれの携帯。
忽然と姿が消えたりお。
「仁!」
仁の名を呼ぶ。
こういう時には直感が働く仁がいてくれたら心強い。
「はぐれた…のか」
携帯電話はここにある。連絡の取りようがない。
樹の姿もいつの間にか見失ってる。
「樹の電話番号」
りおの携帯着信履歴、発信履歴に残ってるはずだと思い当たり開いた。
液晶画面が割れ電源を入れ直してもつかなかった。
「くそっ!」
放り投げたかったが振り上げた携帯を投げつけることはできなかった。
「若、二手に別れて探しましょう。仁は南口から。若とわたしは北口から」
「わかった」
仁も駆け出し俺と榊も藍色の浴衣を探し時間は過ぎていく。
7時。
花火が上がる時間になってもりおの姿を見つけられない。
「いったい、どこへ」
―――りお
頼む。無事でいてくれ!