余裕で銃口を向ける男の前に榊が庇うようにして立った。
「俺を大事にするな。自分を大事にしろ」
榊はいつだって死に急ぐような行動を取る。
命はひとつしかないのに、惜しみなく差し出そうとする。
前広も体を滑らせて前に出ようとする。
「よせ」
榊の腕を引き前に前に出る。
男がニヤリと笑うのが見えた。
前広が、脇に吊っている銃を取り出すが間に合わない。
「待って!!」
叫ぶ声と同時に黒い影が目の前に飛び出してきた。
結った長い髪。
翻る制服のスカート。
両手を広げて飛び込んでくる女。
「な、」
銃口は真っ直ぐに俺を捉えている。
火を吹く寸前に見えたもの。
必死で両手を広げるその横顔。
バーン



