「いか…ないで…わた、しここにいる、から」



羽衣はそう言ってまた力を入れて俺の手を掴んだ。地味に痛いんだけど。



「…しょ、しょうがないなぁ」



口ではそんなことを言いつつも、少しだけ動揺してしまう。たかが寝言なのに。



「羽衣」



こんな俺でも必要としてくれる羽衣。今まで助けてもらった分返していけるようにこれからも力になるから。



「…それはこっちの台詞だよ」



俺には羽衣しかいないんだ。誰かを信じることを放棄した俺には…だからこれからも笑っててほしい。



そんな想いを込めて、触れるくらいの短いキスをした。