私は 1人で家に向かっていた

気付けば外にいて 1人で歩いていた

リュウヤの事・・・これからの事・・・色々考えながら

あっという間に家に着いていた

兄が私の部屋に来た とても悲しそうな顔をして

「ナオ・・大丈夫か?ゴメン 俺何も知らなかったんだよ
 奥さんがいる事も 子供が出来た事も だから」

「お兄ちゃん ありがと でも私は大丈夫だよ 家に着くまでにね
 色々考えたの それでわかったんだ 確かにリュウヤさんは
 私の憧れだった でも憧れは憧れ。だいたい 良く考えたら
 私とリュウヤさんは9才も離れてるんだよ 私なんか恋愛対象外だって
 あーあーおめでとう位言えば良かったなぁ」

「ナオ・・・」

「もうっ悲しい顔しないでよー大丈夫だって 心配しないで
 わっお兄ちゃん 汗臭い お風呂入っておいでよ 早く」

「うん・・・」

この時の兄の背中は 今まで見たことない悲しい背中だった

「お兄ちゃん」

「ん?」

「奥さん居てもさ 子供が居ても 憧れる事位は良いよね?
 この写真 これからも大事に持ってて良いよね?
 私ダンス頑張るよ それで今度リュウヤさんに逢えたら
 私頑張ってますって お兄ちゃん支えてますって胸を張って
 言える様に それで 今度こそ笑顔で おめでとうって言いたいから
 だから頑張る お兄ちゃん応援してね 」
 
「おうっ!任せろ!厳しいぞー覚悟しとけよー おやすみ!」



兄の背中は震えていた・・・

兄のすすり泣く声が ドアの向こうから聞こえていた

ありがとう お兄ちゃん


私お兄ちゃんの妹で良かったよ


ありがとう


私は それからダンスの特訓を重ね

ギリギリで兄が行った所に留学した

兄は私が留学した翌年

夢だったダンス教室を開き 結婚をし幸せに暮らしていると言う

私も留学先で彼氏が出来 卒業と同時に妊娠がわかり

日本に帰り 結婚し子供を出産 だが

2人目を妊娠した位から 夫のDV 浮気 ギャンブル マザコン 

虐待等の理由で離婚 

2人目を出産し 兄のダンススタジオを手伝っていた

辛い事もたくさんあった 女性1人で子供を育てるのは簡単な事じゃない

でも自分が選んだ道だと必死に耐えながら 子供を育て ダンスの道を進んでいた

たった1枚の写真を見ながら・・