「はぁ?何言ってんの?忘れようとしてるよ!毎日 毎日
 どうしたら忘れられるか考えて 考えて でもどうして良いか
 わかんないんだよ!わかんないから悩んでるんじゃん」

大きな声で怒る私を見て兄は笑いながら

「怒んなって お前よく考えろよ 毎日 毎日1人で部屋に
 閉じこもって悩んで 好きな奴を忘れられると思うか?
 余計に落ち込むだけだろ 良いか?昔の恋を忘れるなら新しい恋!
これが1番!それに無理して忘れる事ないって。
 忘れようとして忘れられるもんじゃないとお兄様は思うぞ
折角の夏休みだし友達誘ってパァーっと遊んで
 明るくしててみろよ すぐ又新しい恋が出来るって」
 
「そうかな?」

「恋愛マスターの俺が言うんだから間違いない!」

「自称じゃん」

「良いんだよ!!思い込みも時には大事だ」

「バカじゃないの?ハハッ」

友達からの電話も出ずに悩んでたから
人と話して笑う事が何だか 凄く久しぶりに思えた

「よし!笑ったな、ってか昼間なのにカーテン位開けろよ
 俺まで暗くなる!よっ」

兄が ずっと閉めっぱなしだったカーテンを開け 窓を開けた時
気持ちの良い夏風が私の長い髪がなびいていた

「いい天気じゃん ナオ 俺今日バイト休みだし出かけようぜ」

「えっ?今日?どこに行くの?いい所って?」

「質問が多過ぎる 何も気にせず そして文句を言わず とりあえず来い
 これ兄貴命令」

「はぁ?意味わかんないし。じゃあ・・とりあえずシャワー浴びてくる」

兄のおかげで 久しぶりに外に出たいと思った
出かけようと言われた瞬間に 
さっきまでの私が嘘の様に明るい気持ちになっていた

「何で今から外に出たら歩いてるだけで汗かくだろうに
 わざわざシャワーなのかねー」

「じゃあ行かない」

「はいはい。わかった わかった その代わり急げよ 俺部屋でTV見てるから」

「うん」 

兄は鼻歌を歌いながら 部屋から出て
お母さんのいる1階のリビングに向かって

「おかん!ナオが復活したから ナオ連れて出かけてくるわ!
 晩メシも食ってくるから」

そう言うと 又鼻歌を歌いながら自分の部屋に入って行った

私は急いでお風呂場に向かった

「ナオお昼食べる?」

「大丈夫 お兄ちゃんが急げって言うから コンビニでパンでも
 買って食べるよ」
 
「そっか じゃあナオも元気になったし お小遣いでも
 あげちゃおっかな あっお兄ちゃんには内緒ね」

優しい笑顔の母が私に5千円くれた

「こんなに?やったー ありがとう」

「楽しんできなさい さっお母さんもたまには出かけようかな?」

そう言いながら母はリビングに戻っていった

こうして家族と笑って話すのも久しぶりで
私はとっても嬉しかった

この数時間後に

私は あの恋に・・・出逢う