「ちょ、いきなり呼ばないでよ。ビックリするから……」



「ごめんごめん。それより、また見せて?」





翔磨は、顔の前で両手を合わせて、申し訳なさそうに眉間にしわを寄せた。




あぁ、またか……。





「ちゃんと先生にも言うんだよ?」



「わーってる、わーってる」





さっきの申し訳なさそうな顔から一変して、

早く早くと言わんばかりに机をバンバン叩いている。



私は1時間目の授業、算数の用意を出した。



翔磨は教科書以外の算数の用意を出して、なぜかニコニコ笑っている。




翔磨はほぼ毎日忘れ物をしていて、

今日みたいにおねだりをされては隣の私が見せてあげている。



迷惑の何者でもない。



まぁ、翔磨はどちらかと言うと、かっこいい方だから、

「羨まし~」とか言われるけど。