凛子は前髪が気になるのか、右に分けたり左に分けたり、角度を変えたりして、
鏡から目をを離さずに言葉を続けた。
「だから、慣れてるっていうか。言い方悪い気もするけどさ……」
――そっか、それなら納得。
だから女の子に囲まれても楽しそうに会話できるのか。
凛子の言ったことに納得をして、コクコクと頷く。
「……っんぁー!もうっ!!」
なかなかいい前髪が決まらないのか、
イライラしながら廊下の隅っこある机に鏡をダンッ!と叩きつけた。
「……凛子、鏡割れちゃうよ?」
「あ、イライラしてたから」
と、さっきの扱いとは変わって、ギュッと鏡を握り締めて、
「エヘッ」と誤魔化すように笑った。
「……あ、アハハ」
私はそれを、ただ苦笑いで返すことしかできなかった。