「ん~っ、気持ち~」
廊下の窓から少しだけ顔を出して、風に当たる。
その風で、下ろしてある髪の毛が揺れて、頬に当たってくすぐったい。
そこの窓は、私のクラスのすぐ目の前にあるから、
後ろを振り返ると教室の様子がよく見える。
チラリと顔を後ろに向けると、雄大君の周りがバッチリと目に入った。
雄大君の周りは、教室を出たときと変わらずに人がいっぱい集まっている。
それに、他のクラスからも何人か教室を覗きにやって来ている人がいる。
時々聞こえるのは、「雄大君て、かっこいいよね~」と言う、女の子の声。
「…………」
「……ユズ?どうしたの?」
気がつくと目の前には凛子の顔があって、
ビックリしてしまい後ろに顔をのけぞらせてしまった。
凛子は大きな目をパチパチと瞬きを繰り返して、
私を「どうしたの?」と言っているかのような顔で、私を見つめる。
私はそれに答えるように、
顔の前で手を振って「何でもないよ。ちょっとボーっとしてた」と言った。
