雄大君が座った席の隣の子は、
口を片手で押さえて、頬を赤くしながら雄大君を見つめている。
「はいはい、静かにしてね~。授業始めるから。教科書53ページ開いて~」
それと同時にざわついていたクラスは静かになって、
ペラペラと教科書を開く音が聞こえる。
私も53ページを開いて、翔磨の机と私の机の真ん中に教科書を置いた。
「――……サンキュ」
かなり小さな声だったけど、確かに聞こえた。
翔磨は私が教科書を見せてあげるたびに、こうやってしっかりお礼を言ってくれる。
当たり前のことだけど、日課になりつつあるこの行動に、なかなか慣れれない。
キーンコーン……。
そして、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
