握った手を握り返してもらえないこと。


話を聞いて笑顔を向けてくれないこと。



「憂」


聞こえてる?



「憂」


俺だって分かる?



「憂…
 頼むから目を覚ましてくれ……。」


憂の笑顔が見たいよ。



「愛してるよ…」


憂がいないと駄目なんだ…。


でも俺が悪いんだ。


俺がちゃんとしていれば…


憂が別荘に行くこともなかったし事故にあうこともなかった。



「ごめん」


俺はそう言って病室を後にした。


そのとき蜜華と昌にすれ違ったが俺は気付かないフリをした。


だって思えば合わせる顔がないから。


憂…


俺は本当に駄目な奴だよな。