「わたし、アルベルトさんが誰か他の女性とはなしてると、すごく、しっとして!汚くて、みにくくて、なのに、わたしいがいの人の方がアルベルトさんにはお似合いなんじゃないかって想ったりして。キスもきっと、わたしばかり悩んでるんじゃないのかなあって。結婚式なのに、とってもうれしいのに、お祝いの気持ちよりも、アルベルトさんが来ることの喜びのほうがおおきくて!すごい最低だなって、思って、わたし、」

アルベルト、びっくり。

「赤い糸を贈りたくなかった理由は何だと思います!?」

凄まじい剣幕で迫られて、彼は視線をさ迷わせた。

「え、あ、いや」

「二人だけが良かったんです。もう、ひどいですよね。二人っきりのものがほしかったんです。ごめんなさい。きらって、ください。わたしなんて、もう、でもいやなんです。でも離れたくな、いんです、っ。ずっといっしょがいいのに、」

愛は潤む瞳で、アルベルトを見上げる。彼は溜め息を吐くと、愛から顔を背け、頭を掻いた。そして、暫くの沈黙を置いて。

「ちょっと、愛、おいで」

めそめそと泣きながら、アルベルトの言うことに忠実な愛は、恐る恐る彼の隣に座った。直後、襲い掛かるように抱き締められる。彼女は勿論、硬直した。しかし、腕の力は強まるばかりで、一向に弱まる気配はない。愛は困り果てて、あの、と口にした。