「皆の想いを込めた糸を、リングにして、二人にプレゼントしたいんです」

「あ、そうなんだ。それで悩んでたんだ」

「あの、その、半々といいますか。と、とにかく!どうですか。賛成ですか」

「どうって。そんなこと言われてもねえ」

アルベルトは無精髭に手をやった。

「赤い糸じゃだめなのかい?」

疑問を口にして小指の赤い糸を引けば、愛の小指に僅かな振動が伝わった。二人の間に繋がれる赤い糸は、ソファーの上で、愛の心情を表しているのか複雑に入り組んでいる。


「だって、いや、やっぱ、恥ずかしいです」
愛が抱えていたソファーのクッションを、強く抱きしめる。

「何がだい」というアルベルトの問い掛けに、答えたのは、小さな小さな声だった。


「私のすき、が、アルベルトさんのすき、とは大きさも質も、全然ちがうきがして、」

震える肩に、彼が目を見開く。愛は、大粒の涙を零していた。柔らかそうな頬の上を、透明な雫が伝い落ちる。