姫は抵抗せずに引き摺られるがまま、暗い視線を魚尾に留める。子犬さながら、だ。魚尾は極力身体に負担が掛からないように立ち上がると、引き摺られる姫の前まで歩む。そして負傷していない方の手で優しく彼女の頭を撫でた。 「ただいま、姫」 たった四文字のその言葉に、拗ねて口を尖らせていた感情が。 「お、おかえり」 ゆるりとほどけた表情で乙は小さく返事をした。