声のする方に目を向けると、そこには萌子さんの姿があった。
「まさか、その紙……見てないよね?」
「あ……み、見てないです!あの、本を借りようとしたら出てきてしまって。」
そう言うと、萌子さんは私に近づいて、スクールバックをゴソゴソと漁ると、私の貸した本を手渡した。
「はい。読み終わったから。」
「あ……私、見てないですよ……。」
「そう。見てないなら良いんだけど。あたし、ガサツだからいらないプリントとか適当に丸めて突っ込んじゃうんだよね」
私、知ってます。
萌子さんが全然ガサツじゃないって事。
ごめんなさい。
私、嘘付いてしまいました。
「ねえ、訊いて!萌斗、熱出して休みなんだよ!意外だよね」
「……はい」
どうして、笑うんですか?
辛いのに。
泣いて、いいんですよ?

