――――ガラッ ドアを開けると、萌子さんと萌斗君が仲良さそうに話していた。 「あ、荻原さん」 「瑠璃、遅かったね」 「あ……降りる駅を間違えてしまって…。」 「ドジねえ」 呆れたように笑って見せた萌子さんの顔は、少し悲しそうだった。 「萌子、さん?」 「ん?如何した?」 「いえ……」 やっぱり、まだ柳瀬君の事、気になってるのかな? 萌子さん、大丈夫だよ?心配しないで。 柳瀬君は今、家族の為に働く事で一杯一杯なんだ。 だから、柳瀬君は、萌子さんの事を嫌ってる訳じゃないんだよ。