「ただいまー」



元気良く、リビングのドアを開けて入って来たのは庵だった。



「庵」

「んー?何?」

「朝……」



気まずそうに茉咲が言うと、庵はもっと気まずそうにああ……と言って



「テキトーに食パン焼いて食べちゃった」



茉咲を安心させるためか、笑顔で庵はそう言った。
茉咲は、少し不満そうな笑顔を浮かべてそっか、と一言返すだけだった。



大丈夫だよ、茉咲。庵はちゃんと判ってる。
だから、“ごめん”なんて言わなくていいんだ。