「用件のことも、聞いてなかったんだ?」 え、ちょ、違うよ!! 聞いてなかったんじゃなくて、聞こえてなかったの!! …自分でも何考えてたのかも忘れたくらい上の空だったし。 「ごめん…、もう一回お願い。」 仕方なく私が折れた。 「だからー、今度、充貴の劇団の発表会があるんだって。塾のメンバーで行こうって事になってるけど、どうする?」 綾香ちゃんは私をじっと見て、答えを待ってる。 充貴の劇団の劇かあ…。 面白そうだし、行ってみようかな。