こわれもの


ヒロトは口をつぐみ、マキの肩を抱いたまま固まってしまった。

前の自分だったら即答していたかもしれないが、いまは、アスカの存在が胸をかすめ、マキの言葉をすんなり受け止められない……。


マキはしばらく、期待を込めてヒロトの顔を見つめていたが、

「なんてね、ウソ!」

と、ヒロトの腕をほどき立ち上がる。

「ヒロト、いま、好きな子いるんでしょ?」

「…………」

「正直に言ってよ。

そしたら私、ヒロトのこと諦められる」

「諦めるも何も、俺のこと振ったのはマキだろ?」

やっとのことで、ヒロトは穏やかにそう返す。

「そうだけど。

……ヒロトとは気まずい感じで別れたから、これからは親友になりたい。

私が頑張るためにも、さ」

そう言い笑ったマキの顔を見て、ヒロトは安心した。

「そういうことなら、喜んで」