こわれもの


玄関前で話し込むわけにもいかない。

マキを部屋に上げると、ヒロトは適当な飲み物を冷蔵庫から取り出し、彼女に渡した。

「メールでも言ったけど、私、離婚したんだよ。

心配してくれないの?」

飲み物を受け取るなり、マキは甘えた顔でヒロトの顔を覗き込む。

「心配はしてる。でも……」

そう言ったきり、ヒロトは口をつぐむ。

心配ではあるが、今更マキにしてあげられることなど、何もない……。

マキはため息をつき、苛立った口調で、

「……アリサのこと、児童相談所に預けることになった。

まだ決定じゃないけど、里子に出すことも考えてる」

「え!?」

さすがのヒロトも動揺を隠せなかった。


アリサとは、マキが産んだ子供の名前。

二人目の旦那との間に授かった、マキの第ニ子である……。

離婚し、二人の幼子を育てている身では、再就職も厳しい。

金銭的に厳しかったため、不本意ながらもマキは、アリサを児童相談所に住ませることにしたのだった。


前に来たマキからのメールで彼女が離婚したことは知っていたが、そういう事態になっているとは、ヒロトにも想像できていなかった。