こわれもの



「ヒロトさん、休憩いいっすよ」

「ああ」

職場のゲームセンターの一角で、ヒロトはアルバイトの男子学生と言葉を交わし、スタッフルームに入っていった。

休憩スペースに移動し、すっかり習慣になったタバコを取り出す。

“マキと付き合ってた時は、吸わなかったよな”

あの時は、よく禁煙できたものだと、自分を褒めたくなる。

喫煙が人体に悪いと分かっているが、クセになるとやめられないもの。

睡眠や食事と同じ、ヒロトにとって無くてはならないものだった。


今年に入ったばかりの頃、マキから1件のメールが来た。

返信しなかったので、以来、マキからの連絡はない。


アスカからのメールで、日々埋まってゆくメールボックス。

マキからのメールも、アスカからのメールに押しやられ消えようとしていた。


「もう忘れかけてたってのに、今さら連絡してくんなよ……」

ここにいないマキにつぶやきつつ、ヒロトはケータイを開いた。