こわれもの



遊園地に行った日を境に、アスカはヒロトに自分を見せるようになっていった。

ヒロトは、アスカから話を引き出すのが上手である。

何かあるたびにアスカのグチを聞き、悩み事の相談に乗っていた。

最初アスカは、ヒロトのそういった対応を年齢のせいだと思っていたが、それが彼の性格であると知るのに、そう多くの時間はかからなかった。


アスカがバイトに慣れはじめた3月。

新人の頃と比べるとミスも減り、笑顔で接客する余裕も出てきた。

春の息吹を感じられるスピードと同じく、アスカはヒロトへの想いを募らせていった。

春休みが近付くにつれ、焦りも出て来た。

ヒロトといろいろなことを話せるようになったのはいいが、このままでは本当に妹的立場で終わってしまうのではないか……。

“ヒロちゃんと話す時って、だいたい私の恋愛相談ばかりになるけど、ヒロちゃんはちっとも妬かないよね……。

むしろ、ヒロちゃんは嫌がることなく、好意的に話を聞いてくれる。

それって、私がどうでもいい女だから……?”


ヒロトと気軽に会える関係になれたことは素直に嬉しい。

けれど、ヒロトに恋をしてしまったアスカにとって、そんな付き合いでは心が満たされなかった。