こわれもの


「だから、アスカは特別じゃない。

俺から言わせてもらえば、アスカを寂しがらせたのは、A氏の努力不足のせいって気がするけどな」

「元カレの努力不足?」

思ってもみなかったことを言われ、アスカは目を白黒させる。

「好きなヤツが出来たら、そいつに会いたい、かまってもらいたいって思うのは自然な感情だろ?

アスカは思い詰めてるみたいだけど、誰だってそんな経験あるし、変なことじゃない」

「本当?

今までは、私が悪いんだと思ってたよ……」

「むしろ、そういうとこ一途でいいと思うけど。

A氏はアホだな」

最後、わざと軽口で締めるヒロト。

「なんか、楽になったよ」

「よかったな」

何より、ヒロトに受け止めてもらえたことが大きかったのだろう。

重い鎖でがんじがらめにされていたアスカの心は、空を舞う羽のように軽くなっていた。