こわれもの


観覧車を包む夜景は静寂に満ちて、二人を別世界へと切り離しているようだった。

地上でアトラクションを楽しむ人々の騒ぎ声も、ここには届かない。

暗い場所は人を開放的にさせるというが、まさにその通りである。

普段ならば絶対に言わないことを、アスカは口走っていた。

「本当の私は、孤独が嫌いで、ありえないくらい寂しがり屋なんだ……。

だから、元カレにもしつこくしてた。

メールが返ってこないと不安になる。

友達との約束を優先されると、寂しくなる。


恋なんて、したくなかった。

こんな弱い自分、うんざりだから」

「……アスカ」

ヒロトはしばし黙った後、諭すように言った。

「みんな、一緒だ。

寂しくないヤツなんていない」

「そうかな……?」

アスカは弱々しく聞き返した。

ヒロトは軽くうなずき、窓から地上を見下ろした。

「今日一日ここを回ってて、一人で行動してるヤツ見た?

みんな、群れ作ってアトラクションに列んでただろ?

カップルで来てるヤツも多かった。

それって、一人じゃなく、みんなで楽しみたいヤツが多いってことじゃん。

一人じゃ、寂しいもんな」