こわれもの


話すつもりなどなかったが、アスカは仕方なく、元カレの話をした。

“私の様子が変なのを、ヒロちゃんのせいって思ってほしくないから……”

メールをしすぎて、元カレに嫌われた。

「私、連絡が来ないと不安になるタイプなんだよ。

そんな自分の性格、元カレと付き合う前まで、気付けなかった……」

「なるほど。

元カレ·仮名A氏は、アスカに連絡よこしてこなかったわけだ」

「うん。最初はマメにメールくれたのに。

って! 『仮名A氏』って何?」

アスカが疑問系の驚きを見せると、ヒロトはイタズラ好きの少年顔で、

「そいつにあだ名付けた方が、俺も話に入り込みやすいかと思って」

ヒロトはアスカに、別れた男の名前を語らせないよう配慮したのだった。


「A氏に、未練あるとか?」

「えっと……」

いきなり核心を突く質問をされ、アスカは戸惑った。

いま好きなのは、横で話を聞いてくれるヒロトだけなのだから――。