こわれもの


「……うん……」

アスカは薄い反応しかできず、外を眺めることで悲しみを紛らわした。

ヒロトが誰と仲良くしようが、自分には干渉する権利なんてない。

分かっているけれど、今後ヒロトと親しくなるにつれて、独占欲の塊になってしまう自分が容易に想像でき、アスカは不安になった。

“こんなこと、言えるわけない”

ごまかす言葉が浮かばず、結局アスカは押し黙った。


二人の乗る観覧車が最も高い位置に移動する少し前、観覧車がわずかに揺れた。

「わっ!?」

アスカは思わず声を上げる。

高い位置にある観覧車が揺れると、こわいものがある。

「……俺のせいでアスカに我慢させるの、嫌なんだよ」

正面に座っていたはずのヒロトが、アスカの横に座った。

揺れたのは、彼が席を移動したせい。

“ヒロちゃんのせいなんかじゃないよ……”

アスカは口を開いた。

「私自身のせいだよ」

「アスカのせい?」