こわれもの


しばし、沈黙が流れる。

何かまずいことを言ってしまったのだろうか?

ヒロトを不機嫌にさせてしまっただろうか?

アスカは少し不安になった。

「でも、褒めてもらえて嬉しかったよ。

そうやって言ってくれるの、ヒロトさんだけだし」

「そうなの?」

ヒロトは意外そうにアスカを見る。

運転しながらも、彼の意識はアスカの話に向けられていた。


「ウチのクラスにナマイキな男子がいるんだけど、その人、私にばっかり嫌なこと言ってくるし。

オシャレとか頑張っても、普通にけなしてくるよ」

アスカは、不満げにマツリのことを話した。

何が気に入らないのか、マツリはアスカに対してだけ厳しい。

「マツリのヤツ、他の女子とかキョウには普通の態度なのに。

あ、キョウって、私の友達なんだけどさ」

ヒロトは、自分が味わえなかったハートフルな高校生活を、アスカの日常に重ねた。

おのずと、彼女の学校生活に興味が湧く。

“アスカって、やっぱりいいな”

表情をコロコロ変えて話すアスカは、ヒロトの目に魅力的に映った。