こわれもの


手紙は二枚ある。

ヒロトは二枚目の方に目を通した。

昨日読んだばかりだが、絶対に忘れないよう、記憶に刻みつけておきたい。

《ヒロちゃんと離れるのは寂しいし、今でも大好きだから別れたくないって気持ちもあるけど、私はやっぱり、ヒロちゃんに幸せになってほしい。

マキさんといるのがヒロちゃんにとって幸せなことなんだって、今日、やっと気づいたの。


……最後のワガママ、聞いてくれる?

この手紙を読み終えたら、1分だけ目を閉じて、この手紙の内容を頭で繰り返してね。

絶対、目を開けたらダメだよ!?

この手紙を書いている間に私がそうしたように、ヒロちゃんにも、私と付き合った日々のことを大切に振り返ってほしい。

視界に何も映さず、私と過ごした日々を全身で思い出してほしいんだ。


あと、驚かせるかもしれないけど、マキさんにも手紙を書いたよ。

ヒロちゃんの目につく場所に置いてあるから、それを必ず、マキさんに渡してね。

一生のお願い!!

あ、変なことは書いてないから安心してね(笑)


ヒロちゃんと過ごした毎日は、いつまでも私の宝物です。

もう、別れてしまうなんて寂しいけど、ヒロちゃんに甘えず、自分の足で立てる女になってみせるよ。

だから、心配しないでね。

私は大丈夫だよ。


学校に友達もいる。

将来の夢も、見つかったんだ。

それを叶えたいって考えてたら、未来が楽しみになってきたところ。


どうか、ヒロちゃんにとって、マキさんと過ごす日々が幸せいっぱいなものになりますように。

不幸になったら許さないよ!

(その時は、焼肉おごってもらうだけじゃ済まさないから!)


アスカより》