こわれもの


《マキさんはきっと、私なんかより、ずっとずっと、ヒロちゃんの良さを分かってますよね。

だったら、お願いです。

もう、ヒロちゃんから離れないでください。

ヒロちゃんなら、必ずマキさんを幸せにしてくれるし、マキさんの子供にとっても良い父親になれると思います。

ヒロちゃんと一緒に、子供達にたくさんの愛情を与えてあげてください。


マキさんとは会ったこともない他人同士なのに、いろいろと言い過ぎた部分もありました。許してください。

長々とすみません。

失礼しました。


上原アスカ》


手紙を読み終え、マキはつぶやく。

「……この子、私のことちっとも責めてない。

私はヒロトのこと横取りしたようなものなんだから、もっとキツイこと書いてあると思ってたのに……」

「……ああ……」

ヒロトはそれ以上、何も言えなかった。

アスカに対して、どのような感想を抱くのも許されないと思ったからだ。


アスカの純真さは、二十歳を過ぎた男女二人の勇気になった。