こわれもの


アスカと別れたその足で、ヒロトはマキに会いに行った。

団地外れに連立する借家のうちの一軒が、マキの住宅である。

連絡もなく突然やってきたヒロトに、マキは喜びと困惑が混じった顔で目を見開いた。

「ヒロト……。

連絡なしに来るなんて珍しいね、どうしたの?

あの返事は、クリスマスでいいって言ったのに……」

「クリスマスを待つまでもなく、アスカにはフラれたよ」

ヒロトは言い、悲しげな瞳でマキを見つめた。

「フラれたって、アスカちゃんと別れてきたの……!?

信じられない……」

強気でヒロトに交際を望んだものの、マキも駄目元だったらしい。

ヒロトは、アスカから託された手紙をマキに渡した。

「これ、アスカから。

絶対、マキに渡してほしいって……。

俺は、中見てないから」

「私に……?」

会ったこともない、元ライバルからの手紙に、マキは戸惑う。

そっと封を開け、中を見た。

《マキさんへ》

若い子の書く字だなと、見知らぬ女子高生に軽くヤキモチをやきつつ、マキは手紙に視線をなぞらせる。