こわれもの


《カフェ·ペルセウス》を抜け出すことでヒロトに決別したアスカは、友人二人が待つ駅前のファーストフード店に到着した。

日はすっかり落ちているが、夜の店内はにぎやかで、外の静けさから完全に切り離されている。


ヒロトと別れたら、もっと絶望的な気持ちに襲われると思っていたが、想像していたほどアスカは真っ暗な気分にならなかった。

もちろん、悲しみは深い。

もう二度とヒロトの笑顔に出会えないのだと思うと、深海に沈められたように凍えそうな悲しみを覚えた。

けれども、最後彼に渡した手紙に想いをしたためたおかげで、ここ数日間重いままだったアスカの体は、グンと軽くなったのだった。


レジカウンターで注文した飲み物を店員から受け取ると、アスカはマツリとキョウが待つ店内最奥の席に向かう。

「アスカ……!」

アスカの姿に気付くなりキョウは立ち上がり、

「よく、がんばったね……!」

と、アスカを抱きしめた。

マツリは席に座ったまま、はにかみフェイスで、

「嫌なことって案外そう続かないし、またそのうち、いいことあるって」

と、彼らしくない優しい言葉をアスカに投げた。

「うん……!

やることはみんなやったもん、後悔はない!

スッキリした!!」

アスカは言い、二人と向き合う形で席につく。