こわれもの


ヒロトは感心したように、

「なるほど~。

アスカの母さん、キャリアウーマンなんだな」

「まあ、過去系ですけどね。

今は再婚して、専業主婦してるんで」

何の表情も出さず、アスカは烏龍茶に口をつけた。

ヒロトはやや身を乗り出し、

「ずっと、女手ひとつで育ててくれたんだ。

いい母さんじゃん。

そういう人、尊敬する」

思わぬことを言われてアスカは戸惑った。

同時に、なぜだかやる瀬ない気持ちになる。

ヒロトの言葉は嬉しかったが、純粋に喜んだり、まともに受け止められなかった。

アスカは、母に対し様々なわだかまりを胸に残している。

「そっか。じゃあ、今日は早く家に帰さないとな。

アスカの母さん、心配させるといけないし。

一人娘なのに、こんな時間に誘って……。

俺、悪いことしたな」

ヒロトは申し訳なさそうに言ったが、アスカは全力で首を振り、否定した。

「それは大丈夫ですっ。

今は母と住んでないんで。

……私、おばあちゃんちにいるんですよ。

すみません、気を遣わせて」